2024/01/10作成
不動産登記手続のなかに「買戻し特約に関する登記」と呼ばれるものがあります。
買戻し特約は、民法に規定されており、「不動産の売主は売買契約と同時にこの買戻し特約を結べば、後日、売主は買主が支払った代金及び契約費用を返還することで、売買の解除をすることができる(民法579)」という規定で、この買戻し特約を結んだ場合には、特約の内容を第三者に対抗するためにその旨の登記申請を行い(民法581)、以後その旨が不動産登記簿に記載されます。
買戻し特約は ”買戻し可能期間” (民法580:最長10年)を定めることが一般的かと思いますが、この期間が過ぎても法務局へ抹消の手続を行わず、特約の登記が登記簿に長期間放置・記載されたままのケースがあり、相続による所有者変更や不動産売却などのタイミングにその事に気付いて抹消手続を行うことが実務上珍しくありません。よく見かけるのは、住宅供給公社や都市再生機構などの買戻し特約でしょうか。
この "消えずに残ったままの買戻し特約登記の消し方" について、法改正により昨年(令和5年)4月1日から新たな不動産登記実務の取扱いが始まりました。
新たな不動産登記実務の取扱い
令和5年4月1日以後、買戻しの特約に関する登記がされている場合において、その買戻しの特約がされた売買契約の日から10年を経過したときは、登記権利者(いわゆる物件所有者など)は、単独で当該登記の抹消を申請することができるとなりました。(不動産登記法第69条の2)
改正前は、抹消をするために買戻しを付けていた買戻権者へ手続協力の依頼をする必要(共同申請による抹消協力や嘱託登記による抹消依頼等)がありましたので、先般の改正によってそれら手間が省けスムーズに抹消が可能になったと言えます。
なお、この不動産登記法69条の2の規定により抹消登記を申請する場合には、登記原因証明情報の提供が不要(不動産登記令第7条第3項第1号)、登記原因は「不動産登記法第69条の2の規定による抹消」、登記原因日付も不要となります。
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