2024/10/03作成
令和6年10月1日から商業登記事務における新たな制度「代表取締役等住所非表示措置」が始まりました。
(商業登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第28号)によって創設、10月1日施行)
代表取締役等住所非表示措置とは?
現状、法務局で会社の登記事項証明書等を請求すると、代表取締役の方については氏名以外に個人住所も記載され証明書が発行されますが、これを一定の要件の下、非表示措置を申出ることで住所の一部(行政区画以外の部分)を表示させないとすることが出来るようになりました。
登記事項証明書等は第三者でも取得可能なため、そのことにより誰でも代表取締役の個人情報である住所が確認できてしまうという ”住所を知られてしまう側” の不安感や抵抗感、プライバシー保護の観点、安心して新規に会社が設立できるように配慮するなどの背景をもとに創設された制度となります。
(記載例)
従 来 東京都千代田区一丁目1番1号 代表取締役 法務太郎
措置後 東京都千代田区 代表取締役 法務太郎
※ 住所は最小行政区画までしか記載されないこととなり、市区町村(東京都においては特別区まで、指定都市においては区まで)までの記載となります。
申出は登記申請と同時にする必要あり
この措置を利用するには、代表取締役等の側から法務局へ申出をする必要がありますが、申出は一定の登記申請をする際のみ、その申請と同時に申出をする必要があり、いつでも申出が出来るという訳ではありません。且つ定められた添付書類も必要となります。
一定の登記申請とは
会社設立の登記や、代表取締役の就任登記(重任登記も含む)、代表取締役の個人の住所移転登記など、代表取締役の住所が登記されることとなる登記申請を指します。
一度この措置を講じた場合でも、当該代表取締役の住所に変更がある登記を申請する場合(住所移転登記や住所変更を伴う重任登記等)には、改めて非表示措置の申出が必要となりますので、一度措置を講じたからと言って常に自動的に措置が継続されると勘違いされないようご注意ください。なお、有限会社や合同会社についてはこの措置の対象外となります。
措置を講じることで、登記事項証明で代表取締役の住所を証明することができないこととなるため、銀行などから融資を受けるに当たって不都合を生じたりすること等が想定されます。利用する際には影響に対する事前の確認検討もお忘れなくお願い致します。
代表取締役の住所非表示措置の申出、その他登記手続きに関するご相談などございましたら、お気軽にお問い合わせください。