前回の記事では、遺産分割協議が整う前における預貯金の払戻し(民法909条の2)について触れましたが、似たような制度が家事事件手続法にも定められております。
従来法の下でも家事事件手続法200条2項に基づき一定の要件を満たす場合には、金融機関の預貯金の払戻しをうけることが可能でしたが、今般の改正により、同条に3項を新設し、「預貯金債権の仮分割(払戻し)」に限って、その要件が緩和されることとなりました。
■ 預貯金債権の仮分割の仮処分(いわゆる払戻し)を利用するための要件
(1)遺産分割の審判又は調停の申立てがあること
(2)預貯金債権を行使する必要性があること →相続債務の弁済や相続人の生活費の支弁など・・
(3)他の共同相続人の利益を害しないこと
(4)申立てがあること