2020/10/08作成
「まずは、遺言執行者が指定されているか確認しよう」
前回の記事でも触れましたが、残された遺言書に遺言者執行者の指定が記載されているか否かにより不動産名義変更の申請人となる方が変わってきますので、まずは遺言執行者の記載の有無を遺言書で確認することが必要となります。
遺言執行者が選任されているときは「遺贈を受ける者と遺言執行者」、選任されていないときは「遺贈を受ける者と遺言者の法定相続人全員」が共同して法務局へ手続きを行います。
「遺言執行者が指定さている方が楽?」
遺言執行者が指定されている場合(通常、遺言執行者は1名指定されるのが一般的)、遺言執行者となった方と協力(共同)して法務局へ申請を行います。一方で、遺言執行者の指定が無い場合には、遺言者の法定相続人全員が申請協力を得る対象となりますので、全員が協力しないと手続きが滞ることが考えられます。特に、法定相続人が多数いる場合や以下のようなケースでは、全員が協力をするのが容易ではないことが想像できるため、結果、協力を求める訴訟を提起することも想定され、それはそれで面倒が生じてしまいます。
・相続人全員の印鑑証明書が揃わない
・単純に協力を拒まれた
・疎遠・行方不明の相続人がいる
・相続人に意思疎通が困難な方がいる
・そもそも遺贈を受ける者と相続人は赤の他人で全く接点がない
以上を考えると、法定相続人全員からスムーズに手続き協力が得られるケースはそう多くはないのかもしれません。無用なトラブル予防のためにも、遺言執行者の指定を記載しておくと良いでしょう。
遺贈を受ける方が遺言者の遺言作成に関与できるケースはあまり多くないかもしれませんが、もし関与できる場合には、是非とも遺言者へ遺言執行者の指定も忘れず記載するように促したり、この記事をご覧頂いた方で遺言書の作成をお考えの方は是非、遺言執行者の指定の記載をご検討頂ければと思います。
次回につづく・・・