2021/08/26作成
昨年(令和2年)からスタートした「自筆証書遺言書保管制度」に関して、「法務局へ遺言保管を頼んだ場合、家庭裁判所への検認手続きは不要と聞いたけど本当ですか?」といったご質問がありました。答えは・・・
→本当です。
法務局における遺言書保管制度によって遺言書保管所に保管されている遺言書は、家庭裁判所の検認は不要です。
そもそも「検認」とは、遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造や変造を防止するためのいわゆる証拠保全手続きで、法定相続人に対し遺言の存在を知らせ、遺言の内容を確認し遺言検認日における遺言の内容(遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など)を明確にする手続きのことです。(遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。)
本来、遺言者の亡き後に遺言書を見つけた相続人や予め保管を託されていた人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し「検認」を請求する必要がありますが、今般、新たに制度化された「法務局における遺言書保管制度」によって遺言書保管所に保管されている遺言書は「検認は不要」となっております。実務の現場からの目線で言えば、この「検認が不要」とされたことはとても大きなメリットの一つと言えます。
なお、公正証書により作成された遺言(いわゆる公正証書遺言)は、この「検認」は従来より不要です。
*法務局における遺言書の保管等に関する法律
第11条民法第千四条第一項の規定は、遺言書保管所に保管されている遺言書については、適用しない。
*民法
第1004条遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。