2021/09/28作成
「相続土地国庫帰属制度」とは読んで字の如く、相続した土地を手放して国に渡す手続きのことです。
令和3年4月に成立した法律でまだ利用が開始していませんが、今後、相続した土地を手放したいと考える方には朗報となるかもしれない制度と思われますので、今回から数回に分けて少しお話しをしてみましょう。(なお、制度開始は2年以内とされています。)
■手続きの簡単な流れをイメージすると・・・
1.法務局への承認申請
申請権者となる者 ” 相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等 ” が土地を手放したい旨、法務局へ申請をします。
2.法務大臣(法務局)による要件審査・承認
一定の要件のもと、法務大臣による要件審査が行われます。何でもかんでも、又どんな状態の土地でも国に帰属できる訳ではありません。土地の管理コストを国へ不当に転嫁したり、モラルハザード(道徳倫理の欠如や規律感の喪失など意味します)の発生を防止する必要から、帰属することのできる要件が定められています。
3.承認後の負担金納付
要件審査を経て法務大臣の承認を受けられたら、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額の負担金を国へ納付する必要があります。
(法務省による参考価格)
現状の国有地の標準的な管理費用(10年分)は、粗放的な管理で足りる原野で約20万円、市街地の宅地200㎡で約80万円だそうです。
以上、納付金を支払って国庫帰属となります。要件審査があるように、国としても何でもかんでも土地を受け入れますという訳ではなく、国としても貰って困る土地は貰いませんといった感があることを理解しましょう。より詳細な要件などは引き続き次回以降記事にしていきたいと思います。