2021/10/14作成
「相続土地国庫帰属制度」のお話のつづきです。
前回少々触れましたが、「相続した土地を手放したい」と法務局へ申請しても、何でもかんでも、又どんな状態の土地でも国に帰属できる訳ではありません。土地管理コストを国へ不当に転嫁したり、モラルハザード(道徳倫理の欠如や規律感の喪失など意味します)の発生を防止する必要から、帰属することのできる土地の要件が定められています。
■要件の基本的な考え方
「通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地」に該当しないことを国庫帰属の要件として求め、法令で具体的に定めています。
■具体的要件
①建物が存在する土地
②担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
③通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるのもが含まれる土地
④土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地
⑤境界が明らかでない土地、その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
⑥崖がある土地のうち、通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
⑦土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存在する土地
⑧除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存在する土地
⑨隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地
⑩上記⑥〜⑨の他、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地
国としても、「貰っても、管理するのが面倒な土地はいりません!」ということで、管理しやすい土地(管理の必要が無い土地)なら貰いますということのようです。