2021/11/15作成
” 所有者不明土地とは ” 各法務局に備えられた不動産登記簿(登記事項証明書等)を見ても、登記簿の記載から所有者が直ちに判明しない土地や判明してもその所有者に連絡が付かない土地のことを指しますが、この " 所有者不明土地 " が数多く存在していることをご存知でしょうか。
平成29年度に地方公共団体が実施した地籍調査事業(全国の土地のうち約63万筆を対象)における土地の所有者等の状況に関する国土交通省の調査結果によれば、いわゆる " 所有者不明土地 " の割合が全体の22.2%(筆ベース)にものぼることが報告されています。(この結果は一定の地区内における地籍調査事業における調査結果を活用し日本全国規模に置き換えた推計となり、また、最終的に様々な調査を尽くしても所有者又は所在が判明しなかった土地は約0.44%であったとされています。)
所有者不明土地があると、土地の利用活用が困難となる、民間の土地取引が阻害される、防災等のための公共事業の用地取得の障害となる、森林の適正な管理が行われず管理不全となる、災害復旧復興事業の実施が困難となるなど様々な問題が起こり得ます。このため、所有者不明土地は政府全体で取り組むべき喫緊の課題と位置付けられ、今日に至るまでの様々な法改正へと繋がっています。そのための大きな法改正がいわゆる「相続登記の義務化」となります。
所有者不明土地の発生原因の最大の理由が、所有者が亡くなってもそれに伴って相続人へ名義が変更されない土地の存在です。この相続登記未了問題を解決するため今般法改正により相続登記の義務化が成立しました。(具体的な義務化スタート日は未定ですが、法律公布日令和3年4月28日から3年以内を目処に開始予定となっています。)
今回は相続登記の義務化の背景を簡単にご説明させて頂きましたが、「所有者不明土地問題」及び誘発原因となる「相続登記未了問題」については、相続登記の義務化以外にも現時点において様々な施策が講じられ制度運用されておりますので、今後も引き続き情報発信をしていきたいと思います。
