2020/07/29作成
相続手続きにおいて、遺言書がなく且つ法定相続分とは異なる遺産相続を検討されている場合には、相続人全員による「話し合い」が必要となります。
一般的に、遺産分割協議の話し合いによって合意された協議内容を記した書面を「遺産分割協議書」と呼びます。
遺産分割協議書には相続人全員が署名押印する(同一書面に全員が連署する)ことになるため、相続人全員が一堂に会する機会に署名を行ったり、郵送や訪問での順次署名をしたりすることが多いかと思います。しかし、以下のようなケースによっては、連署による署名押印にかなりの時間を要してしまう場合や大変な労力を費やしてしまうことがあります。
1.相続人が多数いるケース
祖父母や更にその先代のご相続の場合や、兄弟姉妹や甥姪が相続人となる場合には、相続人が20名を超えるケースもあり、全員が一通の書面に連署することが非常に大変
2.相続人が各々遠方で暮らしているケース
相続人が数名の場合でも各々が遠方で暮らしている場合には、一堂に会することが難しく、尚且つ、一通の書面を順次郵送等で回すとしても手間暇が非常にかかる
上記のような煩雑さを伴う相続の際に利用検討するのが、「遺産分割協議証明書」と呼ばれる書面です。
遺産分割協議証明書は協議が既に合意成立済であることを証明する書面であるため、一通の書面に連署しなくとも相続人各自が各々一枚の書面に署名すれば足りるため、順次署名に要する時間が短縮でき上記のような問題点の解消に役立ちます。
なお、「相続人は令和x年x月x日に分割協議をおこなった結果、以下のとおり協議が成立したことを証明する。」などと一文を記載したりします。
相続人全員が一堂に会した和やかな雰囲気の中で面前合意に基づき、一枚の書面(遺産分割協議書)に署名押印するのが一番望ましいことであるとは思いますが、上記のような場合や、最近のコロナ感染リスクのある状況化においてはそれも危ぶまれることもあるでしょう。
ご自身の状況にあった書類形式で相続手続きを行うのが良いかと思います。